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著名な家具デザイナーは非常に多いですが、ここでは「デザイン史を語るうえで外せない巨匠」として、海外3名・日本2名を取り上げ、その代表的な家具を紹介します。
チャールズ&レイ・イームズ


アメリカ・ミッドセンチュリーを象徴するデザイナー夫妻で、プライウッド成形技術やFRP(ガラス繊維強化プラスチック)を家具に応用したパイオニアです。
代表作の一例は次の通りです。
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イームズ・ラウンジチェア&オットマン:成形合板と本革を組み合わせたラウンジチェアで、「世界一有名なラウンジチェア」とも呼ばれる名作。
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シェルチェアシリーズ:一体成形の座面をベースに、木脚・エッフェルベースなど多様な脚を組み合わせるシステムで、現在もヴィトラやハーマンミラーから正規品が製造されています。
どちらも「工業製品としての量産性」と「人間的な温かみ」を兼ね備えたデザインとして、今なお定番です。
アルネ・ヤコブセン

デンマークの建築家であり、ホテルや役所などの建築と同時に、その空間の椅子・照明・カトラリーまでトータルデザインしたことで知られます。
代表的な椅子には次のようなものがあります。

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セブンチェア(Series 7):成形合板シェル+スチール脚の軽快なチェアで、北欧モダンを象徴する存在。どんなインテリアにも合わせやすく、世界でもっとも売れたデザイナーズチェアの一つとされています。
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エッグチェア:卵型のシェルで身体を包み込むラウンジチェアで、ホテルロビーなどで象徴的に使われるアイコン的存在。
ヤコブセンの椅子は「シンプルだが強い個性」「建築と一体で成立するデザイン」で高く評価されています。
ハンス J. ウェグナー

「椅子の巨匠」と呼ばれるデンマークのデザイナーで、生涯に500脚以上の椅子をデザインしたと言われます。
代表作として特に有名なのが次の椅子です。
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CH24(Yチェア):カール・ハンセン&サンから1949年に発表されたウィッシュボーンチェアで、ペーパーコード座面とY字型の背もたれが特徴。北欧チェアの代名詞として世界中で愛用されています。
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CH53などのスツール/アームチェア:シンプルな構造とペーパーコード座面を組み合わせたシリーズで、「日常使いできる工芸品」として評価されています。
ウェグナーは、伝統的なウィンザーや中国の椅子などから着想を得て、削ぎ落とした木構造と座り心地を両立した点が特徴です。
イサム・ノグチ

日系アメリカ人の彫刻家・デザイナーで、彫刻と家具・照明の境界を溶かしたような作品で知られます。
代表的な家具・照明は次の通りです。
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ノグチ・コーヒーテーブル:ガラス天板と、2枚の木製パーツが組み合わさった彫刻的な脚部からなるテーブルで、「彫刻作品としてのテーブル」と評されます。
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AKARI(あかり)シリーズ:岐阜提灯の技術を用いた和紙シェードの照明シリーズで、床置き・ペンダントなど多数のバリエーションがあり、世界中でロングセラーになっています。
いずれも「光や重力、素材の軽さ・重さ」を意識した作品で、家具でありながらアートピースとして扱われることが多いです。
柳宗理・深澤直人(日本)

日本からも世界的に知られた家具デザイナーが複数おり、ここでは2人を取り上げます。
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柳宗理:プロダクト全般のデザイナーですが、1956年に発表した「バタフライスツール」はジャパニーズモダンを代表する名作家具です。 成形合板を左右対称に組み合わせた構造で、和室にも洋室にも合う彫刻的なスツールとして高く評価されています。
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深澤直人:マルニ木工の「HIROSHIMA」アームチェアで世界的評価を得た日本のプロダクトデザイナーです。 柔らかい曲面と細い脚、控えめなディテールで構成されたこの椅子は、「どんな生活シーンにも静かに溶け込む普遍的な椅子」として、国内外のホテルやオフィスでも採用が進んでいます。
どちらも、日本的な「余白」「控えめさ」を保ちながら、国際的なモダンデザインの文脈に接続している点が特徴です。
ここで挙げたデザイナーと椅子・家具は、北欧・ミッドセンチュリー・ジャパニーズモダンといった複数の文脈を象徴する“基礎体力”のような存在です。 それぞれの代表作を軸に、好みの方向(北欧寄り/アメリカン/日本的/クラシック寄りなど)を掘り下げていくと、ブランド選びやコレクション戦略が組み立てやすくなります。