
Carl Hansen & Son(カール・ハンセン&サン)は、北欧デザインを代表するデンマークの老舗家具メーカーで、シンプルで温かみのある意匠と高度なクラフトマンシップで世界的に高く評価されています。 特にハンス J. ウェグナーをはじめとする名だたるデザイナーとの協働により、多くの名作チェアやテーブルを生み出してきたブランドです。
歴史とブランドの特徴

1908年に家具職人カール・ハンセンがデンマーク・オーデンセに小さな工房を開いたのがブランドの始まりで、100年以上にわたり家族経営をベースに成長してきました。 工業化と職人技のバランスを取りつつ、デンマーク国内での生産や木工技術の継承にこだわり続けている点が大きな特徴です。
カール・ハンセン&サンは、北欧デザインの巨匠ボーエ・モーエンセン、コーア・クリント、ハンス J. ウェグナーらの作品を中心に、いわゆる「デニッシュモダン」と呼ばれるスタイルを現代まで受け継いでいます。 それぞれのデザイナーの哲学を尊重しつつ、最新の製造技術やサステナブルな素材を取り入れることで、クラシックでありながら今の生活にも合う家具を生み出しているのが特徴です。
代表的なデザイナーと名作チェア

このブランドを語るうえで欠かせないのが、ハンス J. ウェグナーとのパートナーシップで、特にCH24、通称「Yチェア」は1950年の発表以来のベストセラーとして世界中で愛されています。 アームと背もたれを一体にした曲木のフレームと、Y字型の背もたれ、手編みのペーパーコード座面という構成が、人間工学と美しさを高次元で両立させています。
同じくウェグナーデザインのCH88は、木製座面とスチールフレームを組み合わせた軽快なチェアで、ダイニングからオフィスまで幅広いシーンで使える多目的チェアとして位置付けられています。 MG501「CUBAチェア」は折り畳み式ラウンジチェアで、細身のフレームと編み込み座面により、収納性と座り心地を両立させたモダンな名作です。 さらに、オーレ・ヴァンシャーによるOW149「コロニアルチェア」など、上品でクラシカルなラウンジチェアもコレクションの中心を担っています。
素材とクラフトマンシップ

カール・ハンセン&サンの家具は、オークやビーチ、ウォルナットといった無垢材を厳選して使用し、木目の美しさを活かすためにオイル仕上げやソープ仕上げなどの自然系仕上げが多く採用されています。 CH24に代表されるペーパーコードの座面は、熟練した職人が1脚ずつ手で編み上げており、1脚に数時間を要するほど手間のかかる工程です。 こうした手仕事により、しっかりと体重を受け止めつつ、通気性が高く長時間座っても疲れにくい座り心地が実現されています。
ブランドとしては、家具を長く使うことを前提に、座面の張り替えや修理を通じたアフターケアも重視しています。 消耗したペーパーコードやレザー、ファブリックを張り替えることで、フレームを活かしながら世代を超えて使い続けられる「ロングライフデザイン」を理念として掲げており、サステナビリティの観点からも評価されています。
主なアイテムとコレクション

ダイニング向けにはCH24やCH88のほか、拡張機能を備えたCH337やCH327といった無垢材テーブルがあり、シンプルな構造と繊細な脚部のデザインで空間を軽やかに見せるのが特徴です。 ラウンジ用にはOW149コロニアルチェアやOW149-2ソファ、コロニアルフットスツールなどが用意されており、クラシカルな佇まいとコンパクトなサイズ感で日本の居住空間にも取り入れやすいラインナップになっています。
近年は、屋外でも使えるアウトドアコレクションも展開しており、ボーエ・モーエンセンのデザインをベースにした折りたたみチェアやデッキチェアなどが人気です。 チーク材など耐候性の高い素材を用いることで、屋外環境でも長く使える耐久性を確保しつつ、室内家具と共通するミニマルで端正なデザインを保っています。
日本の住宅との相性

カール・ハンセン&サンの家具は、直線的で軽やかなプロポーションとナチュラルな木目、明るめの仕上げによって、日本の木造住宅や和モダンなインテリアとも非常に相性が良いとされています。 座面が軽やかなペーパーコードであることで、視覚的な圧迫感が少なく、狭めのダイニングやマンションのLDKにも取り入れやすい点も魅力です。
また、シンプルで装飾を抑えたデザインのため、他ブランドの家具やヴィンテージアイテムともコーディネートしやすく、「まずダイニングチェアから北欧家具を導入したい」というユーザーの最初の一脚としてもよく選ばれます。 メンテナンスをしながら長く使う前提のデザイン哲学は、日本の「道具を大切にする」感覚とも重なり、結果として中古市場でも高い評価と流通量を維持しているブランドです。
もし具体的に「Yチェアの材・仕上げの選び方」や「ダイニングテーブルとの組み合わせ」について知りたい場合は、その点に絞っても詳しく説明できます。