
カルテル(Kartell)は「プラスチックを高級インテリアの領域まで引き上げた」イタリアンデザインの象徴的ブランドで、軽快でポップ、かつ実験精神に富んだ家具・照明を数多く生み出してきました。
ブランドの概要と歴史

カルテルは1949年、化学エンジニアのジュリオ・カステッリによりイタリア・ロンバルディア州で創業されました。
当初は自動車部品や実験器具、家庭用品などのプラスチック製品を手がけており、そこで培われた高いプラスチック加工技術を、後に家具・照明へ展開していきます。
木や金属が主流だった時代に、プラスチックを前面に押し出した家具をデザインしたことで、「プラスチック家具=安っぽい」というイメージを覆し、インテリアデザイン史に新しい領域を切り開いたブランドと評されています。
デザインの特徴と思想

カルテルの最大の特徴は、プラスチックという工業素材を用いながら、高いデザイン性と耐久性を両立させた点にあります。
射出成形などの技術を駆使し、複雑な曲線や一体成形、繊細な彫刻的ディテールまで可能にしたことで、他素材では表現しにくい自由なフォルムを実現してきました。
透明なポリカーボネートを用いたチェアやテーブルなど、ガラスのような透明感を持ちながら割れにくく軽量という特性を活かした製品も多く、ミニマルかつ遊び心ある空間演出に適しています。
代表的な家具・名作

カルテルには世界的に知られるアイコンプロダクトが多数あり、インテリア雑誌や商業空間でも頻繁に見られます。
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コンポニビリ(Componibili)
創業者の妻アンナ・カステッリ・フェリエーリによる円筒形の収納モジュールで、1960〜70年代に登場して以来のロングセラーです。
丸いボディにスライド式扉を組み合わせたシンプルな構成ながら、ベッドサイドからリビング、オフィスまで幅広い用途で使われ、「カルテルといえばコンポニビリ」と語られるほど代表的な家具になっています。 -
ラ・マリー(La Marie)
1999年、カルテルが世界で初めてポリカーボネートを用いた透明チェアとして発表したモデルで、ブランドにとって技術的な大きな転機となりました。
透明でほとんど存在感がないように見えながら、しっかりとした強度を持つこのチェアは、その後の透明家具の流行を決定づけた存在とされています。 -
ルイ・ゴースト(Louis Ghost)
フィリップ・スタルクによる、ルイ15世様式のクラシックチェアをモチーフにしたポリカーボネート製アームチェアで、ラ・マリーの技術発展形と言えるモデルです。
バロック的なシルエットでありながら完全に透明、あるいは半透明カラーというギャップがアイコニックで、世界で最も売れたデザインチェアの一つとも言われるほど知名度が高いプロダクトになりました。 -
マスターズ(Masters)
フィリップ・スタルクらによるチェアで、3つの名作チェアの輪郭を線画のように組み合わせた背もたれが特徴です。
一見シンプルなプラスチックチェアでありながら、デザイン史へのオマージュを内包しており、カルテルの「ポップだが知的な」デザインスタンスを体現しています。
このほか、バブルクラブソファ、ストーンスツール、ティップトップテーブルなど、カジュアルながらインパクトのある家具・小物が多数ラインナップされています。
コラボレーションとプロダクトレンジ

カルテルは、エンツォ・マリ、マルコ・ザヌーゾ、ヴィコ・マジストレッティ、フィリップ・スタルクなど世界的デザイナーと継続的にコラボレーションしてきました。
その結果、家具(チェア、テーブル、収納)、照明、インテリアアクセサリー(フラワーベース、トレイなど)まで広いカテゴリをカバーし、コンテンポラリーインテリアのアイコンブランドとしてのポジションを確立しています。
インテリアにおける位置づけと活かし方

カルテルの家具は、色・素材・形が軽快で視覚的ボリュームも抑えやすいため、
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限られた広さの空間に抜け感を出したいとき
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モダンや北欧ベースのインテリアにポップさを一滴加えたいとき
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商業空間でブランド感を演出したいとき
などに重宝されます。
特に透明チェアやコンポニビリは、日本のマンションサイズの空間でも取り入れやすく、「一点投入で雰囲気が変わるプロダクト」として長く支持され続けています。
もし用途(ダイニング、ワークスペース、子ども部屋など)が決まっていれば、シーン別に「どのカルテルのどのモデルがハマりやすいか」も具体的に整理できます。