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【日本の高級家具】カリモク家具の歴史 – 創業から現在まで85年の軌跡

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カリモク家具の歴史 – 創業から現在まで85年の軌跡

創業期(1940年-1950年代)

創業者の背景と木工所の設立

カリモク家具の歴史は1940年(昭和15年)、初代社長である加藤正平が愛知県碧海郡刈谷町(現・刈谷市)に木工所を創業したことから始まります。加藤正平は江戸時代から続く材木屋の家に生まれ、代々受け継がれてきた木材への深い知識と愛情を持っていました。

創業時の時代背景は、日本が戦時色を強めていた時期であり、家具製造業にとっては非常に困難な時代でした。しかし、加藤正平の木材に対する情熱と確かな技術力が、この困難な時代を乗り越える基盤となりました。

戦後復興期の事業展開

1947年(昭和22年)、戦後復興の時期に「刈谷木材工業株式会社」を正式に設立しました。この「刈谷木材工業」の略称が後の「カリモク」という企業名の由来となります。

創業当初は、輸送用の木箱やミシンテーブルなど、家具以外の木工品を主に製造していました。1949年(昭和24年)には紡織機輸出用梱包函の製造を開始し、高度な木工技術を要する分野での事業基盤を築きました。

この時期の事業は下請け中心でしたが、精密な木工技術を要求される仕事を通じて、後の家具製造に活かされる高い技術力を蓄積していきました。

技術力向上への取り組み

1951年(昭和26年)には、高度な木工技術を要するミシンのテーブル部分の製造を開始しました。ミシンテーブルの製造は、家具製造に必要な精密加工技術や組み立て技術の向上に大きく貢献し、カリモクの技術的基盤を固める重要な契機となりました。

この時期の下請け事業での経験は、後にカリモクが家具メーカーとして成功する上で欠かせない技術的土台を形成しました。特に、複雑な加工を要求されるミシン部品の製造は、職人たちの技術レベルを飛躍的に向上させました。

成長期(1960年代-1970年代)

家具事業への本格参入

1962年(昭和37年)、カリモクは自社製品としての家具生産・販売を本格的に開始しました。これまで培ってきた木工技術を活かし、当初は輸出用家具の製造から始まりました。この年は、カリモクが単なる木工所から家具メーカーへと転換を図った記念すべき年といえます。

輸出用家具の製造を通じて、国際的な品質基準と製造技術を学び、これらの経験が後の国内市場での成功につながる重要な基盤となりました。

カリモク家具販売の設立

1964年(昭和39年)には、現在のカリモク家具株式会社の前身となる「カリモク家具販売株式会社」を設立しました。これにより、製造から販売までの一貫体制が整い、本格的な家具メーカーとして全国への家具出荷を開始することとなりました。

この時期は日本の高度経済成長期と重なり、住宅需要の拡大と共に家具需要も急速に増加していました。カリモクはこの好機を捉え、積極的な事業展開を図りました。

1960年代の市場環境

1960年代は、日本の家具メーカーがこぞって世界に通用する家具作りに力を注いだ時代でした。この時代背景の中で、カリモクの家具職人たちは、高い木工技術と経験を基に、日本の住宅に合う家具を作ろうと、国内向けの家具生産に本格的に取り組み始めました。

西洋の家具文化を学びながらも、日本の気候風土や日本人の生活様式に適した家具作りを追求したことが、後のカリモクの成功の礎となりました。

ショールームの開設

1973年(昭和48年)には、本社にショールームをオープンしました。これは、消費者が実際に家具を見て、触れて、体験できる場を提供するという画期的な取り組みでした。ショールームの設置により、カリモクの品質と魅力を直接消費者に伝えることが可能となり、ブランド認知度の向上に大きく寄与しました。

発展期(1980年代-1990年代)

海外展開への挑戦

1983年(昭和58年)以降、カリモクは海外マーケットを視野に入れた事業展開を本格化させました。海外の株式を取得したり、国際家具展への出展を活発化させるなど、日本国内だけでなく海外でも受け入れられるデザインと品質をさらに高めて、世界でも通用する家具作りに注力しました。

この時期の海外展開は、カリモクの技術力とデザイン力を国際的に認知させる重要な機会となりました。海外市場での経験は、国内製品の品質向上にもフィードバックされ、全体的な競争力の向上につながりました。

技術革新への取り組み

1980年代から1990年代にかけて、カリモクは伝統的な職人技術と最新のコンピューター技術を組み合わせた製造システムの構築に取り組みました。熟練職人による手作業の良さを保ちながら、複雑な加工作業にはコンピューター制御の機械を積極的に導入し、伝統的な匠の技と正確で効率的な機械による加工技術の双方で補完する形を取り入れました。

この技術革新により、高い品質を保ちながら効率的な生産が可能となり、現在に至るまでのカリモクの競争力の源泉となっています。

品質管理体制の確立

この時期には、創業以来受け継がれてきた「品質至上」の精神を具現化するため、より体系的な品質管理体制の構築が進められました。原材料の選定から製造工程、最終検査まで、すべての段階で厳格な品質基準を設け、継続的な改善活動を実施しました。

現代への展開(2000年代-現在)

カリモク60の誕生

2002年、カリモクは「ロングライフデザイン」をコンセプトに掲げ、新ブランド「カリモク60(カリモクロクマル)」を立ち上げました。このブランドは、デザイナーのナガオカケンメイとの出会いから生まれ、1960年代から製造してきた製品を現代に蘇らせるプロジェクトとして注目を集めました。

カリモク60は、時代を超越したデザインの価値を再確認させ、家具の長期使用という新しい価値観を提案する画期的な取り組みとなりました。

イノベーション戦略の推進

2009年には「カリモクニュースタンダード(KNS)」をスタートさせ、創業者の孫にあたる副社長の加藤洋氏主導のもと、芦沢啓治氏をはじめとする国内外の建築家やデザイナーとのコラボレーションを積極的に推進しました。

この取り組みにより、カリモクは伝統的な家具メーカーから、現代的なデザインと革新的な技術を融合させた新しい家具ブランドへと進化を遂げました。

総合木工メーカーとしての発展

現在のカリモクは、単なる家具製造業者を超えて、木材の調達からデザイン開発、製造、卸売まで一貫した事業体制を構築しています。この垂直統合型のビジネスモデルにより、品質管理の徹底と効率的な事業運営を実現しています。

カリモクの企業理念と価値観

「100歳の木を使うなら、その年輪にふさわしい家具を作りたい」

この言葉は、カリモクの家具作りに対する姿勢を端的に表現しています。1940年の創業以来、変わらず受け継がれてきた「品質至上」の精神は、長い年月をかけて成長した木材に敬意を払い、その特性を最大限に活かす家具作りへの commitment を示しています。

「木」と「人」を結ぶ家具作り

木の特性を知り尽くし、その魅力を最大限に引き出すノウハウを活かして、人々の暮らしを向上させる家具を届けたいという思いは、カリモクの根本的な価値観です。しなやか、強い、呼吸する、香る、温もりがあるという木の特性を理解し、それを人の幸せにつなげる家具作りを追求しています。

技術的特徴と競争優位性

職人技術の継承と発展

カリモクは創業から85年にわたり、熟練職人による匠の技術を継承し続けています。しかし、単なる伝統の保持に留まることなく、現代の技術と融合させることで、より高品質で効率的な製造を実現しています。

手作業でなければ実現できない細部の仕上げと、コンピューター制御による精密な加工技術の組み合わせは、カリモクの大きな競争優位となっています。

材料へのこだわり

カリモクは創業当初から木材の選定に強いこだわりを持っています。国産材の使用を中心としながら、世界各地から最高品質の木材を厳選し、それぞれの木材の特性を活かした家具作りを行っています。

また、木材の乾燥から加工、仕上げまでの全工程において、独自の技術とノウハウを蓄積し、他社には真似のできない品質を実現しています。

市場での地位と業績

国内最大手としての地位

カリモク家具は、木製家庭用家具メーカーとしては日本国内最大手の地位を確立しており、2017年度の年間売上高は約232億円に達しています。この規模は、日本の家具業界において圧倒的な存在感を示しています。

全国展開とブランド認知

現在、カリモクは全国に数多くのショールームを展開し、高い知名度を誇っています。一般消費者から専門家まで幅広い層に支持され、「カリモク」という名前は日本の高級家具の代名詞的存在となっています。

社会的責任と持続可能性

環境への配慮

カリモクは木材を主原料とする企業として、森林資源の保護と持続可能な利用に積極的に取り組んでいます。適切に管理された森林からの木材調達や、製造工程での廃棄物削減などの環境配慮が、企業活動の重要な要素となっています。

地域社会への貢献

愛知県を中心とした地域社会において、雇用創出や地域経済の発展に大きく貢献してきました。また、伝統的な木工技術の保護と継承を通じて、日本の文化的資産の保護にも寄与しています。

今後の展望と挑戦

デジタル化への対応

近年、カリモクは積極的にデジタル技術を活用した新しい取り組みを進めています。オンラインでの販売強化や、バーチャルショールームの導入など、変化する消費者ニーズに対応した事業展開を図っています。

グローバル展開の推進

国内市場の成熟化に対応し、海外市場への展開をさらに強化する方針です。日本の高品質な家具作りの技術とこだわりを世界に発信し、グローバルブランドとしての地位確立を目指しています。

次世代への技術継承

熟練職人の高齢化という課題に対応するため、若手職人の育成と技術継承プログラムの充実を図っています。伝統的な技術を次世代に確実に引き継ぐとともに、新しい技術との融合による革新的な家具作りを追求しています。

まとめ

カリモク家具の85年の歴史は、日本の家具産業の発展史そのものといえます。1940年の小さな木工所から出発し、戦後復興期の困難を乗り越え、高度経済成長期に飛躍を遂げ、現在では日本最大の木製家具メーカーへと成長しました。

「100歳の木を使うなら、その年輪にふさわしい家具を作りたい」という創業の理念は、時代が変わっても変わることなく受け継がれ、カリモクの家具作りの根幹を成し続けています。

伝統的な職人技術と最新の製造技術を融合させ、日本人のライフスタイルに適した高品質な家具を作り続けるカリモクは、今後も日本の家具文化の発展をリードし続けることでしょう。

風雨に耐えながら成長し、年輪を重ねていく木と同じように、カリモクもさまざまな試練を乗り越え、試行を繰り返しながら、理想の家具作りへの道を歩み続けています。この姿勢こそが、85年という長い歴史を通じて築き上げられたカリモクの最大の財産であり、未来への確かな道標となっているのです。

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