【Cassina】おすすめのソファ
イタリアを代表する高級家具メーカーCassina(カッシーナ)は、1927年の創業以来、世界中のデザイン愛好家を魅了し続けています。その中でも特にソファは、カッシーナを代表するアイコニックな存在です。今回は、買取市場でも高い評価を受け、長年愛され続けているカッシーナの人気ソファ5選をご紹介します。
1. LC2(エルシーツー)- モダンデザインの象徴

LC2は、近代建築の三大巨匠の一人、ル・コルビュジエとピエール・ジャンヌレ、シャルロット・ペリアンによって1928年にデザインされ、1929年のパリ・サロン・ドートンヌで発表された歴史的傑作です。発表から100年近く経った今でも、モダンデザインのアイコンとして世界中で愛されています。
LC2の最大の特徴は、その独創的な構造にあります。クロームメッキを施したスチールパイプのフレームが、クッションを外側から包み込むような「キュービック」なデザインは、当時の家具業界に革命をもたらしました。従来のソファとは異なり、構造体が外に露出することで、機能美と透明性を兼ね備えた斬新なフォルムを実現しています。
ル・コルビュジエは「人と人が会話をする」ことをコンセプトにこのソファをデザインしました。そのため、座面の高さや角度、クッションの硬さなど、すべてが対話を促進するよう計算されています。シャープでミニマルな外観でありながら、座り心地は驚くほど快適で、長時間座っていても疲れにくい設計となっています。
LC2は1人掛け、2人掛け、3人掛け、そしてオットマンがラインナップされており、空間のサイズや用途に応じて選ぶことができます。張地は本革からファブリックまで多様な選択肢があり、カラーバリエーションも豊富です。特にブラックレザーのモデルは、クールモダンな空間を演出するのに最適で、高い人気を誇ります。
イ・マエストリコレクションの一つであるLC2には、デザイナーのサインとシリアルナンバーが刻まれており、正規品の証となっています。ニューヨーク近代美術館の永久所蔵品にも選ばれているこのソファは、単なる家具ではなく、20世紀デザイン史における重要な芸術作品としての価値を持っています。
2. LC3(エルシースリー)- ゆとりある贅沢

LC3は、LC2と同じくル・コルビュジエ、ピエール・ジャンヌレ、シャルロット・ペリアンによってデザインされたソファです。LC2の兄弟モデルとして位置づけられますが、より大きなクッションを採用し、ゆったりとした座り心地を実現しています。
LC2が「プティ・モデル(小型モデル)」と呼ばれるのに対し、LC3は「グラン・モデル(大型モデル)」と称されます。座面の奥行きと幅が広く設計されており、身体を深く沈めてリラックスできる構造になっています。1人掛けでも十分な広さがあり、読書や映画鑑賞など、長時間のくつろぎに最適です。
デザインの基本構造はLC2と共通していますが、よりボリューム感のあるクッションが、ラグジュアリーな印象を与えます。スチールフレームの硬質な美しさと、柔らかなクッションの対比が、視覚的にも触覚的にも魅力的な体験を提供します。
LC3もまた、モダニズム建築の美学を体現した作品として、世界中の高級ホテルやオフィス、個人邸宅で採用されています。シンプルでありながら存在感があり、どんなインテリアスタイルにも調和する普遍的なデザインは、時代を超えて愛される理由となっています。
張地の選択肢が豊富で、クラシックなブラックレザーから、明るいカラーのファブリック、さらには高級感あふれるホワイトレザーまで、空間のテイストに合わせてカスタマイズできます。特に大理石の床やガラスのテーブルと組み合わせると、洗練されたモダン空間を演出できます。
3. MARALUNGA(マラルンガ)- カッシーナの顔

マラルンガは、1973年にヴィコ・マジストレッティがデザインした、カッシーナを代表するベストセラーソファです。発売から50年以上経った現在でも人気が衰えることなく、カッシーナの「顔」として世界中で愛され続けています。
このソファの最大の特徴は、革新的なヘッドレスト調節機構です。自転車のチェーン構造を応用したメカニズムにより、背もたれを簡単にハイバックとローバックに切り替えることができます。リラックスして映画を観る時はハイバック、来客時や食事の際はローバックと、シーンに応じて使い分けられる機能性は、当時としては画期的でした。
マラルンガのもう一つの革新は、その構造にあります。従来のソファが木枠で作られていた時代に、モールドウレタンフォームを採用し、ソファの常識を覆しました。この技術により、従来では難しかった有機的で柔らかなフォルムを実現し、優れた座り心地と美しいシルエットを両立させました。
マジストレッティは、「親しみやすさと居心地の良さ」をコンセプトにこのソファをデザインしました。暖炉のそばや窓辺で、読書を楽しみながらくつろげる空間を作り出すことを意図していたと語っています。その思いは見事に実現され、マラルンガに座ると、まるで優しく包み込まれるような安心感を得られます。
1979年には、世界で最も権威のあるデザイン賞「コンパッソ・ドーロ賞」を受賞し、ニューヨーク近代美術館の永久コレクションにも選ばれています。2014年には発売40周年を記念して「マラルンガ40マキシ」が登場し、従来モデルより幅が35%、奥行きが10%広くなった、よりゆったりとしたバージョンも人気を集めています。
張地は本革からファブリックまで豊富な選択肢があり、カラーバリエーションも充実しています。特に全体に本革を使用したモデルは高級感があり、経年変化による風合いの変化も楽しめます。北欧インテリアからモダン、クラシックまで、幅広いスタイルに調和する汎用性の高さも人気の理由です。
4. 944 SORIANA(ソリアナ)- 彫刻のような佇まい

ソリアナは、1969年にアフラ&トビア・スカルパ夫妻によってデザインされた、独特のフォルムを持つソファです。発表当時、その革新的なデザインは「近代性の革命」と評され、家具デザインの新しい可能性を示しました。
このソファの最大の特徴は、まるで雲のような柔らかな曲線を描くフォルムです。クッション全体が有機的に膨らみ、座る人を優しく包み込むようなデザインは、当時の直線的なモダニズムデザインとは一線を画していました。見た目のもこもことした可愛らしさとは裏腹に、座り心地は非常に快適で、深く身体を預けることができます。
構造的には、スチールのフレームに厚みのあるポリウレタンフォームを重ね、レザーで覆うという手法が採られています。この独自の構造により、従来のソファとは異なる、まるで彫刻作品のような存在感を放ちます。肘掛けの部分も含めて全体が柔らかな曲面で構成されており、どの角度から見ても美しいシルエットを楽しめます。
ソリアナは、コンテンポラリーコレクションの中でも特に個性的な作品として知られています。空間の主役として配置することで、アートギャラリーのような洗練された雰囲気を演出できます。また、背面も美しくデザインされているため、部屋の中央に配置するレイアウトにも適しています。
張地は高品質なレザーが用意されており、カラーはブラック、ブラウン、ホワイトなど、クラシックな色調が中心です。重厚感のある石材の床や、木材を使った温かみのある壁など、素材感を大切にした空間に特に調和します。存在感があるため、広めのリビングやホテルのロビーなど、ゆとりのある空間に配置するのがおすすめです。
5. 550 BEAM SOFA SYSTEM(ビーム ソファ システム)- 現代の新しいスタンダード

ビーム ソファ システムは、2015年にパトリシア・ウルキオラによってデザインされた、比較的新しいコレクションです。カッシーナの伝統的な職人技術と現代的なデザインセンスが融合した、次世代のモジュラーソファとして高い評価を受けています。
このソファの名前の由来は、その独特な構造にあります。座面の下を水平に走る「梁(ビーム)」のような横架材が座面を支えるユニークなデザインで、視覚的にも構造的にも革新的です。この横架材がアクセントとなり、シンプルながら印象的なシルエットを生み出しています。
ビーム ソファ システムの最大の魅力は、その高い汎用性です。ソファとソファの間にサイドテーブルを組み込んだり、ロングシートを追加してカウチのように脚を伸ばしたり、カスタマイズの自由度が非常に高くなっています。1人でくつろぐ時はもちろん、サイドテーブルを挟んで2人で過ごすなど、使い方は無限大です。
側面や背面のラインも美しく仕上げられているため、窓辺や部屋の中心にゆったりとレイアウトして楽しむことができます。従来のソファのように壁際に配置する必要がなく、空間を立体的に活用できる点も現代的です。
張地はファブリックとレザーから選択でき、カラーバリエーションも豊富です。モダンでミニマルなデザインは、コンクリート打ちっぱなしの壁や、大きな窓から光が差し込む開放的な空間に特にマッチします。また、ビジネスホテルやオフィスのラウンジなど、パブリックスペースでの採用も増えています。
座面のクッションは適度な硬さで、長時間座っていても疲れにくい設計です。背もたれは程よい傾斜があり、リラックスした姿勢を自然にサポートします。優美でありながら機能的、そして現代のライフスタイルに寄り添うソファとして、今後さらに人気が高まることが予想されます。
カッシーナのソファが愛される理由
これら5つのソファに共通するのは、「デザインと座り心地の完璧な両立」です。カッシーナは1927年の創業以来、「椅子」にこだわり続け、座るという行為を徹底的に研究してきました。その結果、見た目の美しさだけでなく、一度座ったら忘れられない心地よさを提供することに成功しています。
また、カッシーナのソファをデザインした建築家の一人は「私は寿命が短いデザインには興味がない」と語っています。実際、カッシーナのソファは耐久性に優れ、適切にメンテナンスすれば何十年も使い続けることができます。時代を超えて愛されるデザインと高い品質が、カッシーナのソファの真の価値なのです。
高級家具としての価格は決して安くありませんが、一生ものとして使える投資価値があり、買取市場でも高い評価を受けています。カッシーナのソファは、単なる家具ではなく、生活を豊かにし、空間に格調をもたらす芸術作品と言えるでしょう。